インタビュー記事

これで安心、プロに聞くオーロラ撮影のコツ

ユーコンでプロに聞くオーロラ撮影のコツ

太陽活動の周期により、今シーズン、来シーズンは活発なオーロラを見ることができるチャンスと言われています。このチャンスにしっかりオーロラ写真を撮影できるよう、現地でオーロラガイドや野生動物撮影を中心にプロカメラマンを務める杉本淳さん(以下淳さん)にインタビューさせていただきました!

本日はお忙しい中ありがとうございます。早速ですがオーロラについてお伺いしたいのですが、オーロラは一年中見ることができるものなのでしょうか?

淳さん)
一年中は見られません。オーロラは太陽光より弱い発光現象で、夜間に起こります。夏の北半球での日照時間は、北上するほどに長くなっていきます。その為オーロラが起こりやすい地域では夜空も明るいままなので、オーロラが起こっても見られません。それ以外の季節であれば夜空は暗いので、オーロラが起これば見ることができます。「オーロラは寒い時期にしか見られないもの」というイメージがまだまだあるかもしれませんが、春や秋の比較的寒くない時期でも見ることができます。

―確かにオーロラは寒い中見るというイメージが強いかもしれません。オーロラ自体は一年中活動しているけれど、白夜の関係で夏シーズンは見ることができないということなですね。ではその限られたオーロラが見える期間の中でも特にオススメの鑑賞時期などはありますか?

淳さん)
ホワイトホースでは8月中頃から4月中頃までが、オーロラ観光の主なシーズンです。夏(5月−7月)以外の季節であれば、オーロラがいつでも期待できます。寒さが苦手だという方は、大きな防寒具がいらない9月はおすすめです。ユーコン川でのカヌーや乗馬など、夏のアクテビティもまだまだ楽しめて、紅葉もきれいです。

オーロラは雲の上で起こっている現象なので、天気が悪いと見られません。気温が低ければ低いほど空は晴れる傾向にあるので、真冬の時期12月から2月もおすすめです。冷凍庫よりも寒い気温は、なかなか体験できないと思いますよ。まだまだ防寒具は必要ですが、3月、4月もおすすめです。日照時間がだんだんと伸び、寒さもゆるんでくるので、日中のアクテビティも楽しみやすくなってきます。

―なるほど、少しでも鑑賞確率を上げるために晴天率の高い冬シーズンのオーロラ鑑賞が一般的になったということなですね。でも防寒着のいらない夏シーズンのオーロラも捨てがたいですね。

ー例えば個人手配等でユーコンに訪れた場合、ホワイトホースの街中でもオーロラを見ることができるものなのでしょうか?

淳さん)
見られる機会はありますが…。

オーロラの明るさは、その時々で変わります。よほど強いオーロラであれば、街中からみることもできますが、弱いオーロラは街のあかりに負けてしまうので、いつも街中から見られるとは限りません。より確率を上げるために、郊外に行くことをおすすめします。

―そうなるとやはりツアーに参加するか、郊外のBBなどに宿泊する、もしくはレンタカーで郊外に出向くかという形になりますね。今はコロナ禍ということもありこれまで主流だったグループツアーから個人手配でオーロラ鑑賞を楽しむという流れが大きくなりそうですが、そうなると心配なのがオーロラの写真撮影です。ここからはそのオーロラ撮影をするためのポイントやコツなどをお伺いしたいと思います。

 オーロラの撮影は誰にでもできるものですか?

淳さん)
誰でもできます!

レンズ交換式の一眼レフ、ミラーレス一眼レフであれば大体の機種で撮影できます。「マニュアル撮影モード」で撮影するのがおすすめです。ISO感度、シャッタースピード、絞り値を任意で調整します。難しく感じる人もいるかもしれませんが、とりあえずは以下のように設定してみてください。

  • ISO 1600
  • シャッタースピード 5秒〜30秒(お好みで変えてみてください)
  • 絞り値 最小値
  • ズームレンズを使う場合は最広角

設定はオーロラの強さ、月の有無など、撮影環境の明るさで変わります。この設定値はあくまで目安です。お勧めはオーロラが出てくる前に、この設定で星や、身の回りの風景を一度撮影してみましょう。撮れた結果をもとに、各設定値をお好み合わせて調整すると、より失敗を防ぐことができます。オーロラは大きい被写体です。また暗いところで撮影するので、レンズは広角で明るいものがおすすめです。

オーロラはいつ強くなって、どのくらいの時間出ていて、いつ消えるかわかりません。

これは本当にあった話ですが、三脚にセットしたカメラを、オーロラを待つ小屋の外に出して待っている方がいました。でもその間に、カメラの設定の確認やテスト撮影をしていませんでした。そのうち急にオーロラがよくなって、「どうするんだっけ!?」と慌ててカメラを設定している間に、本当にオーロラが消えてしまいました。そうならないように、気をつけましょう!

―いつ出現するか分からないオーロラを撮り逃したショックは大きいですね…そうならないように万全の準備で撮影に臨みたいと思います。カメラの他に持っていた方がいい機材などはありますか?

淳さん)
三脚も必須です。

時々一眼レフをコンパクトカメラ用の小型三脚に載せている人を見かけますが、これでは不安定で、三脚を使う意味がなってしまいます。お使いのカメラに合った三脚を使いましょう。

予備の電池もあるといいですね。

寒い季節は電池の減りが早いので、撮影途中に電池切れの心配がなくなります。

―確かに僕もマイナス40度の中での撮影で電池が切れてしまい撮影が続行できなかった経験があります。オーロラが出現しているときに限ってそういうことが起こるのはオーロラあるあるですね(笑)

 ー例えばこのように電池が切れてしまった場合など、手持ちのスマートフォンでもオーロラ撮影はできるものでしょうか?

淳さん)
可能な機種もあります。

スマートフォンでも一眼レフ同様、ISO感度、シャッタースピード、絞り値を任意で変更できる機種があります。この点に注意してご自身のスマートフォンを再度確認されるといいと思います。

そうでない機種は、オーロラ撮影や星空撮影用のアプリをインストールすることで、撮影の可能性を広げることができます。スマートフォンも手持ちではブレやすいので、スマートフォン用の三脚アダプターを使って、三脚に固定するとよいと思います。

また一眼レフカメラなどを持っていない場合、一般的なデジタルカメラなどでのオーロラ撮影は可能ですか?

淳さん)
機種によります。コンパクトタイプのデジタルカメラでも一眼レフ同様に、各設定値を変えられるカメラがいいです。カメラによっては設定値の変更に制限があって、例えばISO感度を上げるとシャッタースピードが極端に短くなってしまうといったように、一眼レフ同様に設定ができないカメラもあるので、注意して選んでください。こちらもやはり三脚が必要です。

―色々とお伺いできて大変参考になりました。これで自信を持ってオーロラ鑑賞に望むことができそうです。ここからは杉本さんご自身のことについてお伺いさせていただきたいと思います。

現在ユーコンではどのような活動をされていますか?

淳さん)
もともとは野生動物の撮影を中心に活動していましたが、今ではそれ以外にもユーコンに住む人々の生活の様子、オーロラもライフワークとして撮影しています。それらの作品は地元観光局、地元新聞、カナダの環境保護団体などに提供しています。動物、オーロラ、風景写真は、お土産屋さんをはじめとしたユーコン内のお店でも、見てもらえます。

日本向けには、今年から小学館のアウトドア雑誌、「ビーパル」のWEB版に寄稿を始めました。そこに書ききれなかった話を、noteで配信し始めました。

例えばこちらではライフイベントなどで家族写真をカメラマンにお願いするといった文化もありますが、淳さんにそのようなご依頼をさせていただくことも可能でしょうか?

淳さん)
もちろん可能です。

多種多様な撮影依頼にお応えしています。今回はオーロラに関してお話してきたので、オーロラに関して一例を紹介します。近年ではホワイトホース郊外に、オーロラ鑑賞ができる宿泊施設が増えてきています。そのような施設にお泊まりの方向けに宿まで伺って、オーロラ鑑賞中のみなさんの旅の思い出を撮影させていただきます。

オーロラ撮影出張サービス
オーロラ旅行の思い出を、素敵な写真で残しませんか?地元ホワイトホース在住、日本人フォトグラファーが、あなたの滞在する郊外の宿、ご自宅、ご希望場所まで出張して撮影します。
撮影終了後数日のうちに、撮影した写真をダウンロードして、お楽しみいただけます。

料金
・基本料金 $170.00(1時間の撮影を含む) + 交通費   $3.00/km
・追加料金 $50.00/時間(撮影時間上限は合計最大4時間)

淳さんへの撮影のご依頼はこちらから

それ以外にも、皆さんのニーズに合わせて色々とアレンジ可能です。撮影のご要望がありましたら、お気軽にご相談ください。

やはりプロのカメラで撮影された写真はとても綺麗で一生物だなと感じます。オーロラの下で家族写真の撮影などホワイトホースならではのリクエストもできるそうなので、すでにホワイトホース在住の方を始め旅行でホワイトホースにいらした方など、撮影のご相談はぜひ淳さんまで!

杉本淳(すぎもとあつし)プロフィール

フォトグラファー 東京都出身
2008年からユーコン準州を度々訪れ、野生動物の写真撮影を行う。2011年にカナダ移住後は、野生動物だけに限らず、風景や人々の生活の撮影を行うなど活動の幅を広げる。地元新聞、観光局、自然保護団体、政府自然保護局、日本の雑誌などで写真作品や記事を発表。2019年ユーコン準州で行われたFirst Light Image Festivalで最優秀賞受賞。

ウェブサイトや各種SNSをはじめ、日本のアウトドア雑誌BE-PAL情報発信サイトnoteでユーコンの魅力を発信中。