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【前編】カナダの医療システム、ファミリードクターという制度

カナダ、ユーコンのファミリードクター制度について

カナダの医療システムは日本とは異なり耳鼻科などの専門医にいきなり受診するということはなくウォークインクリニックに行くかファミリードクターと呼ばれる担当のドクターに診てもらうことが一般的。日本では馴染みの薄いファミリードクターという存在ですがカナダで生活をしていく上では欠かせない頼れる存在です。

※2020年5月現在、COVID-19の関係で緊急性のない限り基本的に直接病院またはクリニックに出向くことはできません。最新情報はこちらからご確認ください。

ファミリードクターとは?

本と違いカナダではお医者さんに診てもらいたいと思ったときはまずウォークインクリニック(または救急)に行くかファミリードクター(Family Doctor)と呼ばれるいわゆる家庭医に診察の予約をすることが一般的です。ファミリードクターはGeneral Practitioner(「総合診療医」の意味)とも呼ばれGPと略して言うこともあります。総合診療医という名前の通り風邪気味であっても耳が痛くても、妊娠の可能性があってもよほどの緊急時でない限りはとりあえずまずはファミリードクターに診てもらいます。

診察をしてもらってからさらに詳しく専門医に診てもらう必要があると判断された場合はファミリードクターにそれぞれの専門医への紹介状(Referral)を書いて予約をしてもらうことになります。また、血液検査(Blood Work)やレントゲン(X-ray)などファミリードクターがいるクリニックでは設備がない場合に大きな病院で行われる検査などに必要な申込書(Requisition Form)もファミリードクターのオフィスを通して用意してもらいます。

これらは全て州の医療保険制度であるユーコンヘルスケアに加入していれば無料で受けることができます。ただ、例外として歯と目に関してはユーコンヘルスケアではカバーされない為、歯医者と眼医者は自分で探した先生にそれぞれ予約をして診察と治療を(実費または民間の医療保険等でカバー)します。

ファミリードクターの見つけ方

カナダは全国的に医者不足と言われており、ユーコンに限らず他の州でも今ファミリードクターを見つけることはとても難しいと言われています。健康であればもちろんそれに越したことはなく病院にお世話になることもないのでファミリードクターの必要性は感じないかもしれませんが、いざ必要となった場合にファミリードクターが見つかるまでには時間がかかることも考えられます。

そのためユーコンに移住目的など長期での滞在を予定している場合は、万が一のためにもできるだけ早い段階でファミリードクターを探し始めることをおすすめします。以下、ホワイトホースでよくあるファミリードクターの見つけ方をご紹介します!

・【最新】オンラインで

2019年11月よりオンラインでファミリードクターを申請することができるようになりました。これは所謂マッチングアプリケーションで、自分(または自分と同じ住所に居住している家族の分)の情報をオンライン上で入力し自動的にマッチングされたファミリードクターの情報が郵送で州から送られてきます。年齢、性別、クリニックの場所、言語等の理由でドクターを選ぶことはできませんがマッチング結果を拒否することは可能でその場合はもう一度最初から同じフォームに入力することになります。

州のウェブサイト: https://ihs.gov.yk.ca/find-a-family-doctor/f?p=100:10:14818928162760::NO:RP,10::

・州の電話番号で

867-393-6980に電話をかけると定期的に更新される自動音声で現在新しい患者を受け入れているドクターの名前を案内しています。
→2019年7月3日現在、ユーコン内で新しい患者を受け入れているドクターはいませんでした。

州のウェブサイト:
https://yukon.ca/en/health-and-wellness/hospitals-and-health-centres/find-doctor

・紹介で

配偶者などの家族や親戚からなど近しい人からの紹介であればファミリードクターになってもらえる可能性が非常に高いです。ただ、友人やホストファミリーなどの間柄ではなかなか難しいかもしれません。それでも小さい街ここユーコンのホワイトホースでは

「隣りの家の人がたまたま医者だった」

「ユーコンに来てナニー(子守)の仕事を始めたら子供のお父さんが医者だった」

「仕事先のお店に来る常連さんが医者だった」

ということも場合によってはあるかもしれません。

このように親しくなってから直接聞くことができるチャンスがあればそれとなく

Are you accepting new patients?

と一言聞いてみることも一つの手です。

・ウォークインクリニックや救急サービスで

上の場合と少し状況は似ているのですが直接ドクターと対面する機会はウォークインクリニックや救急サービスで病院に行ったときにもあります。特に病院の救急サービスはホワイトホースのクリニックに勤務するドクターが曜日や時間交代で勤務しています。そのため基本的に普段はGPとしてクリニックに勤務しているため空きがあればファミリードクターになってくれる可能性があるかもしれません。直接聞くことができる状況であれば上記同様に一言ドクターに聞いてみることをおすすめします。

・妊娠&出産で

妊娠&出産はおそらくホワイトホースでファミリードクターを見つけることのできる最大のチャンスです。

ホワイトホースにあるSage Maternity(https://www.sagematernity.com/)ではウェブサイト上で

If you don’t have a family doctor in the Yukon, one of our team would be happy to take you, your new baby and your family into our practice.
ファミリードクターがいない場合は(新しい患者として)あなたと生まれた子供、その家族を喜んで私たちのクリニックに受け入れます。

と記載があります(2020年5月現在)。

ただ、状況が変わる場合もあるため最新情報はクリニックのウェブサイトでまたはクリニックに直接確認することをおすすめします。
※Sage MaternityはWhitehorse Medical Clinic内にあります(下記「産婦人科クリニック」参照)。

・医療関係の仕事で

医療関係の仕事は個人情報(健康状態など)にアクセスする機会の多い仕事のため、医療現場での仕事を得た地点でファミリードクターがいない場合、その職場にできるだけ関わらないドクターをファミリードクターとして職場から正式に紹介してもらえる場合があります(例えば同じクリニック内に勤務するドクターにファミリードクターになってもらうと他のスタッフにも自分の健康状態などの情報が伝わってしまう可能性があるなどの理由から)。確実な方法ではありませんが十分に可能性はあるので仕事が決まったらまずは職場で聞いてみることをおすすめします。

カナダで健康診断を受けよう

ファミリードクターが見つかったらまず受診したい健康診断。カナダでは会社が健康診断を実施してくれるといったことは基本的にはなく自己管理で健康診断を予約&受診します。
※永住権申請の際に必要とされる健康診断(Medical Check)はファミリードクターのクリニックとは関係なく政府指定の機関で受診する必要があります。

健康診断の言い方はカナダでは州によって異なるようでホワイホースのクリニックではComplete Physical (またはPhysical) やComplete Examと言う場合が多いのですがComprehensive visitや単にCheck-upと呼ぶ州もあるようです。

また、カナダでは3年に1度(25歳~69歳の女性の場合)の検査がすすめられている子宮頸がん検診のためのテストはPap testまたはPap smearと呼ばれます。例えば健康診断と一緒に子宮頸がん検診のテストも一緒に予約したい場合は

I am looking to book a complete physical with pap test.

などのように伝えて予約をします。

クリニックにもよりますが健康診断は30分程で血液検査やレントゲン(必要な場合のみ)などクリニックでできないテストは病院で受けることになります。またカナダでは健康診断の結果についてクリニックから連絡が来るのは一般的に「悪い結果の場合」または「ドクターが直接話したいことがある場合」のみで、何も問題がなかった場合は基本的に何も連絡はきません。そのため結果について話したいことがある場合などは新たな予約をする必要があります。

予約時にファミリードクターが不在の場合

予約したい日にファミリードクターがクリニックに勤務していないという場合もあると思います。そういった場合、「あなたのドクターはその日いないけどローカムが代わりに勤務しているからローカムの予約でもいい?」と聞かれる場合があります。

ローカム(Locum)とは主に医者などを「一時的に代行する人」の意味で資格のあるドクターですが、一つのクリニックには所属せずにいわゆるフリーランスのような形でそのエリアで空いたスポット(ドクターが休みの期間や、病院で人手不足のときなど)を埋めるように仕事をしているドクターのことを言います。

また同じように「レジデントなら予約できるけどそれでもいい?」と聞かれることもあります。レジデント(Resident)とは医療用語では「研修医」の意味で学業とインターンを全て終えた人のことでドクターとしての資格を有します。ローカムとは違いドクターとして正式にデビューする前の状態のため若い人が多く不慣れな場合もありますがドクターとしての資格はあり、基本的に診察後にはそのレジデント担当のドクターに(状態やカルテなどを)チェックをしてもらうようになっているため個人的には深刻な状況などでなければ積極的に予約に入れてもらいます。

ファミリードクターの変更は難しい

ホワイトホースでは慢性的な医者不足となっているため一度ファミリードクターが見つかってから「このドクターとは合わない」や「いつ予約してもドクターがいない」等の理由からファミリードクターを変えたいと思っても変えることはなかなか難しいのが現状です。別のドクターが新しい患者を受け入れていることを知ってコンタクトをしても「今のドクターから変更したいから」という理由では”既にドクターがいる”ということになり「それならファミリードクターがいない人をまず優先します」と却下されてしまうことがほとんどだからです。ただ、変更したい理由が人道的な理由(精神的苦痛など)の場合は他のドクターを探して見つかった時にはその旨をきちんと伝えましょう。

後編ではファミリードクターがいない場合にも利用できるホワイトホース市内のクリニックを紹介します!

最後までご覧頂きありがとうございました

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